⑥2回目の天井

妊娠した事に、喜びよりも
不安の方が大きくて、

出来るだけ早く病院に行きました。


診てもらったのは、   
T医大病院のO先生。

長女を取り上げてくれた先生です。


O先生は、いつもと変わらない雰囲気で、
私を迎えてくださって、
診察して下さいました。


「妊娠してるね! 

 でも、まだ心拍も確認出来ないから
 また来週きて。」


1週間が経ち、また病院へ…


「そうだね…
 ここに心拍があるんだけど…。

 うーん…。

 もしかしたら流産になるかもしれないし、
 ここから育つ場合もあるから…」 

 
先生は淡々と説明します。


「また来週見てみよう。」



そこから1週間、長かったなぁー

怖かったなー

嫌なことばかり考えていました。



何も出来る事はないので、
出来るだけ静かに、

でも変わらずの日常を心がけました。



そして、運命の日、 
この日は夫も一緒です。

先生
「卵が育ってないね。
 ここから育つ事はもうないかな…

 手術するか、
 このまま出て来るのを待つか、
 落ち着いたら決めよう」


流産です。



どうして…
ごめんなさい…




夫は、診察室から出できた私の様子で
悟ったようで、


「久美ちゃん…大丈夫だから…
 大丈夫だから…」


と背中をさすってくれました。

夫の顔は見られませんでした。
 


私達は、先生と相談して、
手術をする事に決めました。


執刀して下さるのは、
O先生、日帰り手術です。  


意識のないまま終わった手術は、
先生の


「久美子さん!
 終わったよ。
 安心してね。終わったから…」

と肩をたたかれて意識が戻りました。

この天井見た事ある…


手術室から出ると、
夫が心配そうな顔で、待っていました。


私はぼーとしていました。  



帰りがけに私はO先生に聞きました。


「私は赤ちゃんを産めるんですか?」


先生
「産めると思うよ。
 初めの子は、
 亡くなった原因は分からなかった。

 染色体異常でもなかったし、 
 妊娠も出来るし、お腹の中で育ってる。

 出産も出来てるし。 

 今回は一般的な流産。
 これは、誰にでも起こり得ること。
 特別な事ではない。

 久美子さんに、
 ただ2回続けて不運な事が起こっただけ。

 でも、また流産する可能性もある。

 それは、久美子さんだけって訳ではなく、
 確率の問題だから…


 宝くじだって
 2回続けて当たる人もいるでしょ?
 それと同じ。


 私ね、久美子さんと同じような経験した
 人で、その後3人赤ちゃんを産んだ人 
 知ってるよ。

 大丈夫。」 


先生の私へのエールを聞いても、

何だか、私には明るい未来などないようで
気持ちは暗かったけれど…



でも、お腹だけは空いていて、

その日は、家に帰って、
夫と大好きな天丼を食べました。


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